ストーリー

クリスマス・イブの夜、恋におちた2人
男は、愛しているから別れた 女は、愛しているのに別れた
春を待つ思い出の部屋で、再会した2人の運命は──?

クリスマス・イブの出逢い──1830年、パリの屋根裏部屋

 自由気ままに生きるボヘミアンたちが暮らす屋根裏部屋。詩人のロドルフォ(ローランド・ビリャソン)と画家のマルチェッロ(ジョージ・フォン・バーゲン)は、寒さに震えている。薪を買う金もないのだ。ロドルフォの原稿を「この世の多大なる損失」などとふざけながら燃やしていると、哲学者のコッリーネ(ヴィタリ・コワリョフ)、音楽家のショナール(エイドリアン・エロード)がやってくる。3日間ピアノを弾き続けて稼いだというショナールは、3人に街へ繰り出そうと提案する。

 原稿を書き上げてから追いかけると、1人残ったロドルフォ。そこへ突然、階下の部屋に住むミミ(アンナ・ネトレプコ)が、ローソクの火をもらいに来る。部屋の鍵を失くすミミ、消えてしまう2人のローソク、鍵を探して暗闇の中で触れ合う手と手──その瞬間、2人は恋におちる。すべての恋がそうであるように、理由もなく、激しく。急いで互いのことが知りたくて、身の上話を始める2人。お針子をしている一人暮らしのミミの唯一の楽しみは、バラやユリの花を育て、春を待つことだという。

しあわせな時間──カフェ・モミュスの陽気な夜

 仲間の待つカフェ・モミュスへと出かける2人。熱々の焼き栗や甘いキャンディが並ぶ広場は、クリスマス・イブを祝う人々で賑わっている。ロドルフォはミミに、ピンクの刺繍を散らしたレースのボンネットを贈る。仲間たちにミミを紹介するロドルフォの口からは、彼女を讃える詩があふれ出す。この恋は、スランプに陥っていたロドルフォの詩心までも、復活させてくれたのだ。

 そこへ、歳の離れたパトロン、アルチンドーロ(イオアン・ホランダー)にエスコートされたムゼッタ(ニコル・キャベル)が現れる。喧嘩別れした、マルチェッロの元恋人だ。まだ、相手のことが忘れられない2人は、互いの存在が気になって仕方がない。最初はわざとムゼッタを無視していたマルチェッロだが、堪えきれずに彼女への想いを語る。それを聞いた彼女は、足が痛いと嘘をついてアルチンドーロを靴屋に追いやるのだった。自分とロドルフォたちの勘定書きをアルチンドーロに残し、マルチェッロの元へと帰るムゼッタ。

身を切る別れ──アンフェール門の冷たい雪

 2月下旬の夜明け前。ミミは、マルチェッロがムゼッタと共に身を寄せる居酒屋を訪ねる。ミミは、クリスマス・イブの夜から一緒に暮らし始めたロドルフォのことを相談にやって来た。ロドルフォは、根拠のない嫉妬に身を焼き、ミミに辛く当たるようになっていた。そしてついに昨夜、「もう終わりだ」と言い捨てて、部屋を出て行ったというのだ。

ミミを置いて行ったロドルフォは、他ならぬその居酒屋にいた。目を覚ますロドルフォ、身を隠すミミ。マルチェッロの問い詰めに、ロドルフォは悲しい事実を口にする。ミミは不治の病にかかっていて、日々悪くなる一方だというのだ。心からミミを愛しているが、貧しさのあまり何もしてやれない。彼女のために別れるというロドルフォ。驚きのあまり姿を現したミミは、ロドルフォの決意を受け入れて、去っていく。ボンネットを「私たちの愛の形見として持っていて」と言い残して──。

予期せぬ再会、そして──愛が始まった屋根裏部屋

 数ヵ月後、屋根裏部屋で机に向かうロドルフォには、一編の詩も涌いてこない。傍らでキャンパスに向かうマルチェッロも同じだった。彼とムゼッタも、別れを選んでいた。ミミは、裕福な子爵の世話になっているという噂で、マルチェッロは豪華に着飾って馬車に乗るミミを見たという。

 コッリーネとショナールに励まされていた傷心の2人の前に突然、ムゼッタが現れる。ロドルフォの側で死にたいと、子爵の屋敷を出たミミを連れてきた、と。独りで歩くこともできないほど、衰弱したミミ。薬を買いに行くムゼッタとマルチェッロ。外套を売って金にかえようと出て行くコッリーネは、2人きりにしてやろうとショナールを促す。 ロドルフォに「あなたは私の愛。そして私の命のすべて」だと心をこめて伝えるミミ。懐かしい屋根裏部屋で、変わらぬ愛を確かめ合う2人。医者が来たら、薬が届いたら、きっと治る──。ロドルフォはそう信じて、いつも胸に抱いていたボンネットを、ミミにそっと手渡すのだった……。